宮古万華鏡

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■東日本大震災:がれきの中ホテル営業 作業員らで満室に
2011年4月30日 毎日新聞
 東日本大震災で壊滅的な被害を受けた岩手県宮古市の宮古港近くで、大きく被災しながら営業するホテルがある。
部屋は救援にあたる医療関係者やがれき撤去、仮設住宅建設などにあたる作業員らで常に満室。
いったんは廃業を決めた経営者が「復興のために」と再開したホテルだ。【片平知宏】
 ホテル海幸園(6階建て、25室)。
津波の際は2階の床上約40センチまで浸水。
経営する千束(せんぞく)諭さん(58)と妻千寿子さん(59)はホテルで作業中だったが、近くの高台にある漁協ビルに避難し難を逃れた。
 津波のあとホテルに戻ると1階の食堂やフロント、厨房(ちゅうぼう)には他の家の家具などが流れ込み、壊滅状態だった。
所有していた車や舟も流された。
廃業を覚悟して従業員に解雇を伝え、内陸への引っ越しも考えた。
 だが、建設業者や市の担当者から「宮古に宿泊場所がないため、土木作業員が内陸部から通っていて作業がはかどらない」と聞かされた。
「よそから宮古に来て復興を手伝ってくれる人がいるなら、自分も頑張るしかない」と再開を決意した。
 元の従業員を呼び戻し、10日間かけて1階の泥をかき出した。
知り合いに頼んで新たな調理器具をそろえ、食堂や厨房などは2階に移した。
結婚記念日でもある3月20日にホテルを再開。
現在、宮古市白浜で経営する民宿と合わせて土木作業員ら約120人が宿泊していて満室状態だ。
2000円以上値引きした特別料金で営業しているため「もうけはないような状態」という。
 県旅館ホテル組合宮古支部によると、組合員の宿泊施設は市内で22施設あったが、30日現在、直接の被害がなかった4施設と復旧した2施設の計6施設だけが営業している。
どこも「医療関係者や警察、土木作業員で予約しにくい状況」(担当者)だという。
同市都市整備部の久保田愛一郎部長も「震災直後は仮設住宅を建てる土木作業員の宿泊場所に困っていた」。
 千束さんはこう話す。
「観光業をするエネルギーはもうない。
土木の人たちの需要がなくなったら廃業するつもり。
でもその日までは前を向いて行くしかない」
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by hachimandori | 2011-07-04 18:42